オオクワガタのオスが右側に居る

「カブトムシと一緒でしょ」
「分かってる。分かってる。」

まー確かに、なんとなく同じってのは合ってるけど・・

そもそも冬眠して、2~3年とか生きるし、長いと6~7年という話しもあるよ。

わたしは、これを聞いた時にビックリしました。

まじ、そんな生きるの・・

飼育する前は、カブトムシと一緒で、成虫が生きてるのは夏だけだと思っていました。

今は、育て方も変わり、自然界のオオクワガタより大きく育てる方法が確立され、それも簡単に飼育することが出来ます。

今回は、オオクワガタを育てる場合のスケジュールについて説明したいと思います。

自然界のオオクワガタ

野外の木に止まるオオクワガタのオス

オオクワガタは、日本全国に分布し生息しています。

しかし、主に原生林(人の手が入っていない自然な森林)となるような場所に生息しているので、なかなか見ることはないと思います。

野外で捕まえた場合は、4~5cmくらいが一般的で、7cmちょっとくらいが最大と言われています。


日本のクワガタとしては大きい部類となり絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ 生息数が減り居なくなる可能性がある)となっています。


ブナやクヌギなどの朽ち木、倒れた木の穴や隙間に産卵をし、幼虫の間は腐食(ふしょく)した木を食べながら成長していきます。

さなぎ、成虫となるまでこの木の中で育ち、1年もしくは、2年をかけて外に出てきます。

オオクワガタの特徴として、越冬(冬眠)があります。

成虫になり冬がくると動きが鈍くなり、エサも食べなくなり休止状態となります。

成虫となってからの寿命は長く、2~3回は冬を越しますが、自然界ではエサの確保や天敵(鳥類)、気温変化など生き抜くのは、なかなか難しいと思います。

性格はとても臆病で木に隠れてあまり出てこないようです。

飼育している場合も威嚇してくることも少なく、とても温厚と言った感じです。

飼育する場合のスケジュール

オオクワガタの成長の過程として、たまご→幼虫→さなぎ→成虫と育っていきます。

幼虫は、脱皮を繰り返し大きくなり、その時の状態により初令(1令)→2冷→3冷と呼びます。

各成長の過程でどのくらいの期間を過ごすかを表にしてみます。

自然界ではなく、家で育てた場合のスケジュールとなり、菌糸ビンで管理した場合となります。(菌糸ビンについては後述)

オオクワガタのスケジュール

飼育する温度や環境、オスメスの違いにより、期間は変わりますので、だいたいの目安とはなります。

メスの場合は、オスよりも成虫になるのが早いので、幼虫の期間が、2〜3か月くらい短くなります。

菌糸ビンとはなんぞや

「何、その白いの!?」
「大丈夫なの?なんか怖い!」

「そもそも、なんて読むの?」

はい、私も最初は、そのように思っていました。

そんなもので飼育する必要があるなんて、ちょっと敷居が高いなと・・

しかし、実際に扱ってみて、別に怖いものでもないし、手間がかかるものでもなく、逆に飼育を楽にし大きく育てられる便利なアイテムとなります。

では、菌糸ビンとは、なんぞやと言うお話しです。

まず、「きんしビン」と読みます。

簡単に言うと広葉樹を粉砕したものにキノコ菌を入れ、幼虫が食べやすいものとしたエサです。

現在は、オオクワガタを育てる方法として、主流となっています。

メリットとして下記があります
  • 大きく育てることが出来る
  • 飼育期間の短縮
  • 飼育スペースが小さく済む
  • 観察が容易

まず、大きく育つと言うことと、早く成長するので成虫となるまでの期間が短くなります。

自然界では成長がゆっくりとなり、2年間をかけて成虫になることがありますが、菌糸ビンだと1年間で済みます。

管理面で言えば、朽ち木などで育てると場所を大きくとってしまいますが、菌糸ビンだと小さいスペースで飼育が可能ですし幼虫の観察も可能です。

デメリットとしては下記があります
  • 多少金額がかかる
  • 知らない人はなんとなく怖い

飼育用の発酵マットなどで育てるという方法もあり、こちらだと金額は安く抑えられますが、大きくなりにくいという欠点があります。

菌糸ビンだと購入するものにより価格は左右されますが、菌糸のブロックとなっているものを購入し自分で詰めて安く済ませることもできます。

菌って聞くとちょっと怖いと思いますが、キノコが出来る菌なので、食中毒などの原因となるようなものではありません。

口に入ったとしてもまったく問題ないようなものです。

たまご

たまごが産まれるのは、5~9月くらいの気温が安定した20~25度くらいの時期になります。

オオクワガタのたまごは、やや黄色い感じで1~2mmほどになります。

たまごの殻から幼虫が出てくることを孵化(ふか)といいます。

たまごの状態からふ化するまで、大体10~14日間くらいとなります。

飼育方法として、オオクワガタは朽ち木に産卵をしますので、朽ち木の中でふ化するのを待ちます

たまごの状態で取り出してしまうとふ化する確率が低下しますので、ある程度大きくなるまで朽ち木の中で育てます。

もしたまごの状態で、取り出してしまった場合は、プリンカップなどにマット(飼育用の発酵マット)を入れて管理します。

初令(1令)

オオクワガタの初令幼虫

たまごからふ化した幼虫のことを初令(しょれい)または、1令(いちれい)と呼びます。

ふ化した直後の大きさは、数ミリ程度しかありません。

初令の期間としては、3~4週間くらいとなります。

この時期は、まだ弱い状態ですので、注意が必要となります。

飼育方法として、プリンカップなどに菌糸もしくは、マットを詰めて飼育をします。

この時期から菌糸で育てる方法とマットで管理する方法とに別れます。

この時期から菌糸に入れてしまうと、死んでしまう可能性があります

これは、菌が活発になると酸欠状態となったり、菌が回りおがくず(粉砕した木)が固まってきて身動きが取れなくなってしまうからです。

よく「菌糸に巻かれてしまう」、「菌糸に負けてしまう」と言われます。

2令

オオクワガタの2令幼虫

初令から脱皮をして、2令(にれい)となります。

大きさは100円玉前後くらいでしょうか。

頭の大きさが、初令の時より一回り大きくなっていますので、そちらで判断するのが分かりやすいです。

期間としては、3~4週間くらいを過ごします。

エサを食べる量も増えてきて、丈夫にもなってきていますので、プリンカップなどから菌糸ビンに入れる時期になります。

オオクワガタは、育っている環境により大きさも変わってくるで、出来るだけ大きな容器で飼育すると良いです。

ずっと小さなプリンカップなどで育てていると、あまり大きくなりません。

3令

オオクワガタの3令幼虫

2令から脱皮して3令(さんれい)となります。

終令(しゅうれい)と言うこともありますが、3令が一般的な呼び方となります。

大きさ的には、500円玉を大きく超えてきます。

3令で、どれだけ成長したかで成虫になった時の大きさが決まります

オオクワガタは、成虫になってからは大きさは変わらず、幼虫時代にどれだけ育ったかで決まります。

期間としては、6~8か月くらいを過ごしますが、冬眠する時期などを挟むと長くなります。

飼育方法として、菌糸ビンに入れるのですが、オスとメスにより菌糸ビンの大きさも替えた方が良いです。

大きく成長させるために、オスの場合は1100~1400ccくらいのビンには入れた方が良いです。

温度変化についても重要で、冬眠しない程度の温度で管理してあげると、冬の期間もエサを食べ続けて大きく成長します。

さなぎ

オオクワガタのさなぎ

3令からさなぎになりますが、さなぎになるまでに段階があります。

まずさなぎの期間に過ごす穴を作り始めます。

これを蛹室(ようしつ)と言います。

オオクワガタの場合は、横に長い穴を作り、幼虫より一回り大きな空洞となります。

ここで、さなぎになるための前準備として、前蛹(ぜんよう)と呼ばれる状態となります。

足がピンとカタカナの「レ」文字のようになり、動かなくなり、エサも食べません。

ここから、2週間くらいでさなぎとなります。

さなぎとなってからは、3~4週間くらいで羽化(うか)します。

成虫となることを羽化といいます。

さなぎの状態で、まったく動かない訳ではなく、たまにクネクネ動いたりしています。

この時期は、出来るだけ動かさないようにして、そっと見守ってあげて下さい

成虫

オオクワガタの成虫オス(屋内)

さなぎから成虫に羽化しますが、最初はまだ白っぽく、日が経つにつれて黒くなっていきます。

成虫になってからも蛹室で過ごしていきます。

大体2~3か月くらいは、蛹室で過ごし、地上(マットの上)に出来てます

こうなってようやくエサ(昆虫ゼリー等)を食べるようになります。

冬眠の時期を挟むと、そのまま蛹室で過ごし、温かくなってから地上に出てきます。

もし早めに菌糸ビンから取り出したい場合は、1か月を過ぎてから、取り出して下さい

飼育ケースにマットやハスクチップ(ヤシの実の外皮)などを湿らせて管理します。

もちろんエサはすぐに食べませんので、2か月くらいを過ぎてからエサも一緒に入れて飼育するのが良いと思います。

成虫となってからの寿命はとてもながく、オスの場合は交尾する回数などの影響もありますが、2~3年くらいは生きます。

メスは産卵をどのくらいするかによりますが、1回産卵をして1~2年、産卵を2~3回するとかなり体力を消耗し弱ってしまう感じです。

産卵

オオクワガタの成虫メス(野外)

5~9月くらいの気温が安定した温かい季節が産卵の適した時期となります。

成虫になってから直ぐに産卵できる訳ではなく、羽化してから4~6か月くらい経ってからが良いです

出来る事なら、越冬した後であれば、さらに良い状態となります。

オスとメスを飼育ケースに一緒にいれて、交尾をさせてから、メスを産卵用に用意したケースに入れるのが一般的です。

オオクワガタは、朽ち木に産卵しますので、産卵木と言われるたまごを産み付ける木を用意しケースに入れてあげます。

まとめ

オオクワガタの一生について、結構長生きするんだという感想が多いのではないでしょうか。

飼育環境では、外敵もなくエサも豊富で不自由のない環境ですので優雅な一生を過ごさせてあげられます。

飼育方法は、ちょっと大変そうだと思われたかもしれません。

カブトムシなどと比べると飼育する手間は格段に増えてしまいます。

しかし、野外でもなかなか見ることが出来ないオオクワガタを近くで見れることはなかなかないと思います。

幼虫時期は数か月に一度の手間をかけるだけですし、小さい時期から育つ姿を見ながら成虫までなるのは感動ものです。

ぜひ、興味あれば飼育にチャレンジして見てください。

オオクワガタを幼虫から育てる方法を下記の記事にまとめています。

オオクワガタを育てる環境や温度について下記の記事にまとめています。