オオクワガタ幼虫(正面)

「おうコラ、なんやその白いものは!」
「なんか怪しいことしとるのー」

「や、やばい・・・」


説明なしに菌糸ビンを使用し、重大なトラブルへと発展しそうになったことがありました。

その時の内容や対処方法などもありますので、同じような環境でお過ごしの方はどうぞご参考にして下さい。


そもそも、オオクワガタの飼育で主流となっている、菌糸ビンでの幼虫飼育ですが、何も知らない人がこれを見たらどう思うのか・・



実際に私も最初に見たときは、なんだか気持ち悪く、とんでもないものを使用するのだと思ってしまいました。


そんなオオクワガタの幼虫飼育の方法について、説明したいと思います。

オオクワガタの幼虫飼育って何をするの?

何をするのか?

私が初めて飼育をする時に、カブトムシと一緒で、簡単でしょって考えていました。

適当にマット(腐葉土)などに入れておけば、翌年の夏には、大きくなって出てくると・・


それが、いざ幼虫飼育を始めると


菌糸ビン?なにそれ?

多頭飼育?単独飼育?はぁ?


温度管理?なぜに?




いろんな業界用語が飛び出し、何のことやら不安でいっぱいになってしまいました。


ただ実際に経験してみると、大変とかではなく、知らなかっただけで以外と簡単に育てられるんだと思いました。

まずは分かりやすいように、どんなことをしなければいけないのか、どのくらいの期間なのかを表にしてみます。



ここでは、菌糸ビンで育てることを前提で進めます。

状態期間やる事
たまご2週間そっと見守る
幼虫10か月菌糸ビン飼育
(3~4回の交換)
さなぎ1か月そっと見守る

うんうん、なんだカブトムシと大体同じじゃん!



そうです。簡単に言うと同じなんです。


ただ、なぜ菌糸ビンを使うのか?


温度管理でどうなるのか?




こういう点をちゃんと抑えて、どこまですべきか、どこまで出来るのかを知ってから飼育できれば、大きいオオクワガタを育てることも可能になります。

必要となる道具は?

道具一式

必要となる道具ですが、オオクワガタを育てるために主流となっている菌糸ビンを使った飼育方法に絞っています。


実は、菌糸ビン以外での飼育方法もあるのですが、飼育期間が長くなり、菌糸ビンより大きくならないので、今回は除外しています。



では必要となるものを表にしてみます。

道具用途
菌糸ビン幼虫の飼育ケース兼エサ
スプーン菌糸ビンを掘るスプーン

2つです。ほとんど道具が必要ありません。


まず菌糸ビンですが、幼虫が食べるエサになります。

クヌギやコナラの木を粉砕したものをキノコ菌で分解し、幼虫が食べれるようにしたものです。


この菌糸ビンを使用すると、早く成長し、大きくなります。


菌糸ビンには、1頭だけを入れて飼育をします。

カブトムシの場合は、1つの飼育ケースに数頭入れて育てますが、オオクワガタの場合は、共食いをしてしまう可能性があるので、1頭ずつ育てるのが基本となります。


複数頭で育てることを多頭飼育と呼び、1頭だけを単独飼育と言います。



菌糸ビンは、2~3か月くらいで交換が必要となります。

菌糸ビンの中から、幼虫を取り出し、新しいビンへ移し替えてあげる必要があります。


その時に、菌糸ビンを掘るのに適しているのが、長めのスプーンになります。

スプーンは専用のものも売られていますが、100円ショップなどで代用できるものでも大丈夫です。


長めのスプーンやカニを食べる時に使う細長いスプーンとかが使えると思います。


菌糸ビンの中を掘って幼虫を取り出す必要があるのですが、結構固くなっているので、長さがないと掘りにくいので、長めのものがおすすめとなります。


そして、もし温度管理を行うのであれば、いろいろと工夫しながら保温できる環境を作るための準備が必要になります。


たとえば、発砲スチロールを重ねて、パネルヒーターで保温をするとかになります。

菌糸ビンの見た目が怖い

小麦粉

これは、私が初めて菌糸ビンを家庭に持ち込んだ時のことです。


「おうコラ、なんやその白いものは!」

「なんか怪しいことしとるのー」




「や、やばい・・」



「いや、けっして、想像しているものではなく・・」




「えっ、誰?事件?」
「テレビでやってる24時間密着警察とかの人!?」

「いえ、違います。神でございます」


普通であれば、その時に説明すれば良いだけの話しですが、私の家庭では違います。


家庭での全支配権を握っている、神(よめ)にお伺いをたて、しっかりと説明をしなくてはならないのです。

一応、クワガタを育てるということは伝えていましたが、白い謎のビンを使うとは言っていませんでした。


「やばい!」

「クワガタ君たちがやばい!」


「いや・・・私の命がやばい!?」




説得すること、数時間・・


神は、なんと善良なる市民たちの命を救い、私への罰則もなしとのお告げをしてくれました。


どれだけのゴマすりとよいしょが飛び交ったのか・・



想像を絶する体力の消耗と疲労感が数日間も続いたのは言うまでもありません。

もし、家庭内で菌糸ビンを扱う場合は、最初にちゃんと説明をしておくことをお勧めします。


正直、私自身も初めて扱うまでは、ちょっと抵抗がありました。

少し敷居が高く、何かとんでもないものを使用しているイメージと言うのでしょうか。


しかし、やばい菌が漂う訳でも、置いている近くにキノコが生い茂る訳でもありません。

ちゃんと説明して家族の理解を得ておくのが理想だと思います。

一番最初に菌糸ビンに入れるタイミング

オオクワガタの幼虫(菌糸ビン)

最初に、たまごを産んだ産卵木から割り出しを行い、幼虫を取り出すのですが、その後の管理方法についてです。

1令の時から、菌糸を使う方法と発酵マットを使用する方法に分かれます。


よく言われるのが、オオクワガタの幼虫が2令になってから菌糸ビンに入れるのが良いと言います。



1令の状態だと、まだ弱いので、菌糸に巻かれてしまう可能性があるのです。

ただ、本当に菌糸に巻かれてしまうのが、原因かと言うと疑問があります。

そもそも、身体が弱い幼虫もいますし、環境が適していなかった可能性もあります。


安全なのは、1令の時は、プリンカップに発酵マットを入れて管理し、2令になってから菌糸ビンに入れてあげる方法です。


もし私が、1令の時から菌糸を使う場合は、菌糸プリンカップの上部分を少し削り、発酵マットを多少多めに入れてあげるようにしています。

こうすることで、菌糸に巻かれてしまう可能性を少しでも減らしたいという考えです。



そして、菌糸ビンに投入する時ですが、菌糸が活発になりビンの中の酸素が不足気味になっていることがあります。

出来るだけ、投入直後の2~3日間は、キャップをせずに空気の通りを良くしてあげるのが良いと思います。

菌糸ビンの交換時期の見分け方

オオクワガタ幼虫(菌糸ビン交換)

菌糸ビンは、何度か替える必要があり、メスの場合は2~3本、オスの場合は3~4本くらいの交換を行います。


何を目安に交換をするかというと、下記のタイミングになります。

  • 茶色い部分が6~7割くらいになった
  • 2~3か月くらい経過した
  • 菌糸ビンが劣化してしまった


菌糸ビンは、周りが白くおおわれていますが、幼虫が中で活動することにより茶色の部分が徐々に拡大していきます。


この部分が多くなってきたら、交換のサインです。6~7割くらいが茶色くなっていれば交換してあげてください。


ただ、幼虫を投入した直後に、中で暴れまわることがあります。「あばれ」と言われるこの現象は、菌糸ビンの環境が合わずに幼虫が中をかき回し、周りの白い部分も少なくなります。


この状態は、食べたから交換するということではなく、環境が合っていないので、ふたをとって酸素をいれてあげるか新しいビンへの交換が必要となります。



2~3か月くらいすると菌糸自体が劣化してきますので、交換の目安となります。

温度の変化が大きいや、温度が高い場合は菌糸の劣化が早まります。そのような場合には、早めの交換が必要になります。


水滴により水が溜まってしまい、逆さにして出しても出ない場合や、アオカビがたくさん発生しているような状態であれば交換が必ようとなります。


あとは、さなぎになっている状態や、さなぎになる直前には、菌糸ビンの交換はしないで下さい。

外から見える位置にいれば、さなぎかどうかの判断ができますが、見えない場合は、幼虫の期間や温かい時期から判断し、交換をするかを慎重に決めて下さい。

飼育環境について

温度計(冬)

オオクワガタの幼虫飼育で、温度管理がとても重要になります。

自然界のオオクワガタは、野外で育っていますので、寒さに強いです。


では、なぜ温度管理をしなくてはいけないのかということです。その理由は下記です。

  • 出来るだけ大きくなって欲しい
  • 大きく育てるまでの期間を少なくしたい


この2点があるから、温度管理の必要性があります。


もし、大きさのこだわりがない、自然に近い期間で成虫になってくれれば良いと考えていえれば、温度管理の必要性はありません。


最低限の温度させ確保できていれば、冬眠状態となり温かくなってからまたエサを食べ始めます。

しかし、冬の期間は活動を停止するために、その分成長も遅くなります。



さらに、さなぎとなるためにある程度の高い気温が必要となります。この時期を逃してしまうと、成虫になるまで2年くらいを要する場合もあります。

冬の時期に、出来るだけエサを少しでも食べさせ、冬眠状態とならないで育てるとより大きくなります。

しかし、ずっと温かい状態が続いてしまうと、逆に早く成虫となってしまい、小さい状態で羽化してしまいます。

冬を感じさせつつ、冬眠状態にせずに、エサを食べる環境を作ってあげると大きく育つのです。

18度くらいが冬眠状態とならない温度帯となりますので、この温度を保てると大きくなる可能性が増えます。

いくらかかるのか?

カブトムシ飼育の総額費用

オオクワガタの幼虫を育てるのに、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?


菌糸ビンは、各販売業者により、いろいろなものが販売され、大きくなる配合が研究されています。

メスの場合は、2~3本、オスの場合は、3~4本くらいが菌糸ビンを使う本数となります。

もちろん、交換の時期や環境、オオクワガタの状態にもよると思います。



例えば、私がよく使用している月夜野きのこ園の「エレメントシリーズ」という菌糸ビンがあります。


ビンの種類や大きさにより価格が違ってきますが、こちらを例に計算をしてみます。

今回は、透明のビンで、初期投入時に、800cc、交換時にオスであれば1400ccを使用した場合とします。

菌糸ビン名称1本の価格
EP-800396円
EP-1400646円
2023/5/12時点の価格(税込み)
メス場合
菌糸ビン名称使う本数金額
EP-8003本1,188円
合計1,188円
オスの場合
菌糸ビン名称使う本数金額
EP-8001本396円
EP-14003本1,938円
合計2,334円

大体このぐらいの金額となります。

ただ、もう少し安く済ませる手段もあります。


今回の計算では、全て新しい菌糸ビンを購入した場合の費用となります。

これをビンの再利用や菌糸を自分で詰めるようにすると費用が違ってきます。それについては、また別の記事で説明したいと思います。

そして、一番大事なのが、どこで菌糸ビンを購入するかです。

近くにショップなどがあり、納得のいく菌糸ビンかつ値段も高くなければ、配送代がかからないので、安く済むと思います。

もし近くになければ、ネットでの注文となり、購入するたびに配送料金がかかってしまいます。


どのメーカーの菌糸ビンにするのか、価格はいくらなのか、配送料金がどのくらいとなりそうかを事前に調べておいた方が良いです。

菌糸ビンの再利用や費用については下記の記事にまとめています。

まとめ

オオクワガタの幼虫飼育について、意外に簡単に出来る気がしたと思いませんか?

少し慣れない、菌糸ビンを扱うのが敷居になりますが、使ってみれば、観察も容易にでき、並べてすっきり管理できるので、とても便利なアイテムになります。


温度管理までを行うのであれば、保温をできる環境を作ってあげる必要が出てきて、大変になりますが、全て完璧な状態にしなくても大きく成長してくれます。

私は、幼虫が段々と育っていく様子を見るのが、とても楽しくなり癒しの時間になっています。


もしよろしければ、オオクワガタの飼育にチャレンジして見て下さい。

オオクワガタを育てる環境や温度について下記の記事にまとめています。